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D2Cスタートアップの広報活動で大事にしている3つのこと
#PRLTのアドベントカレンダーは前職の時、多分3年くらい前にエントリーして以来です。大変ご無沙汰しています。当時はnoteだったのですが、転職と同時にnoteも閉じてしまったので、自分のnotionブログからエントリーさせていただきました。
私事ですが、TENTIALに1月に入社してもう1年が経とうとしています。以前は中古品売買サービスの広報をやっていて、同じtoCの広報であったのですが、転職してみて気づくことがたくさんあった1年でした。D2Cスタートアップの広報担当をされる方、これからしてみたい方に少しでもお役に立てればと思い、自分がやってみて大事だなと思ったことを3つまとめてみました。
前提として、TENTIALは私が入る前から広報を担当されていた方がおり、立ち上げの話ではない点はご了承ください。
1. プレス活動を効率的に実施する
TENTIALに入って思ったのは、「思ったよりメディア露出の機会がある」ということです。メーカーで広報されていた方にとっては既知なことではありますが、モノがあるので商品紹介などの類は結構お話をいただくことが多いです。なので、案件を受けているだけでも結構大変です。特に弊社はアパレルを取り扱っているので、いわゆるアパレルのプレスのような動きをすることもしばしばあります。
ですが、ここに手を取られるとスタートアップとして大切な市場や世論形成のための広報の動きや、採用関連の広報活動には手が回らなくなってしまいます。D2Cスタートアップのジレンマではありますが、弊社のようなフェーズにある企業広報に求められるのはプレス活動ではないと思うので、誠意ある対応をするのが前提の上で、いかに効率的に対応できるかを意識しておくと良いと思いました。
弊社の場合、関係のある記者さんやライターの方の製品サイズは全てメモしておくことですぐに対応できるようにしておくこと、商品発送はSCMが持ってくれること、素材は商品ごとにGoogleフォトで管理して、すぐお渡しできるよう整理しておくことで効率化を図っています。
当たり前のことですが、整理しておくと他の社員やインターン生でもすぐに対応ができるのが良い点です。SCMに触れましたが、商品開発も積極的にサンプルを回してくれたりしているので本当に周りに支えられて広報活動を円滑に回すことができています。
少し脱線しましたが、案件も複雑で管理も大変だったので、夏頃にGaudiy社のマーティンさんが作ったPRDBを使ってタスク管理を始めました。
アクション、案件、メディア(人)を紐づけて管理できる非常に優秀なのに無料という素晴らしいツールなので、notionでドキュメント管理している企業の皆様にはオススメしています。
2. 中長期的な視点で広報戦略を立てる
先程メディア露出の機会は多いと話しましたが、入社当初は「そもそも露出量が足りないんだよね」というのが前任者からの広報の課題となっているということで、目先の製品の露出を増やす、いわゆる露出量に重きをおいて活動していました。キャラバンの数を増やしたりするなどして、露出量を増やすことはすぐに出来ました。
ですが、ただ露出させたとて何かが変わるわけでもなく、爆発的なヒット商品が出てくる訳でもありませんでした。そりゃそうです、ただ露出を取りに行っているだけで、そこに意図がなかったからです。気が付いたらめちゃくちゃプレス活動をしていました。
露出量が増えているという実感は社内にもありましたが、広報がバリューを出しているというイメージはなかったんじゃないかと思います。先日のキャディ社の浅野さんのブログでもありましたが広報は露出屋さんではありません。
また、弊社の場合毎月のように新製品が複数出るような状況で、都度アポのお願いをしてキャラバンを行うことが人的リソース的にも無理がありました。夏前にはちゃんと疲弊しました。なので短期的に露出取れればOKみたいなのはオススメしないです。
会社に慣れてきた夏前から方針をガラッと変えて、主軸商品を軸にしたパーセプションチェンジを狙ったPR活動にシフトチェンジしました。同時に3か年目標を立て、逆算していくつかのパーセプションイメージのマイルストーンを引いています。
具体的には市場動向など広く製品群をPRするような活動を実施したり、隣接領域の銭湯・サウナと絡めた話を展開したり、なぜヒットを作れているのかという企業広報活動をしました。まだ道半ばですがメッセージが浸透していく中で市場の盛り上がりや商品認知度の拡大に繋がっていっている実感値も定量的な値も出てきたり、年末のヒット商品特集などにも顔を出すようになってポジションが変わってきたねという実感が社内外で起きました。また、露出量を追っていた時期と今とで、露出量はむしろ上がっているという事実もあります。
モノの露出に限らず、あるパーセプションやポジションが浸透して「〇〇といえばこの会社・この広報さんだよね」といったイメージがつくと、何かとメディアさんからお声がけをいただく機会が増えるし、プロダクトとコーポレートの広報の両面に繋がります。自分(達)はどういうパーセプションを取りに行くのかを明確にしておくことを念頭に置いておくのはよかったです。
3. コストセンターという自覚と、留まらないこと
最後に、弊社はまだ60名程度の規模でありながら、商品開発、マーケティング等の部署と並列して広報が部署として存在しています。責任者をやらせていただいているのもあり、よく組織運営どうやっているんですか?という質問をいただきます。人(マネジメント)の話はよく見るし、最近はひとり広報的な話も多いので、お金の面で取り組んでいることについて、まとめます。
弊社の場合は広報に明確に予算があり、人件費を含め事業予算を引きながら企業の経営において広報がどのような役割を担っているのかを考えています。周りのスタートアップ界隈の広報さんに聞いてもあまり例のなかったことだったので、珍しいパターンかもしれません。
改めて予算を引きながら広報活動を行なっていると、弊社の場合は商品のサンプリングや製品発表会などを実施することもあり、しっかりお金を使っているという意識が芽生えました。ROI的な考えには囚われないようにしていますが、広報活動を通じて検索ボリュームの変化や売り上げといった定量的な指標の変化があるのかをアウトカムとして意識的に見ていました。
パーセプションチェンジ、ビヘイビアチェンジに繋がる広報活動をしようと中長期的に広報計画は置いているので参考値として見る程度ですが、検索ボリュームの変化やお客様の購買の意思決定に広報活動が寄与できるというのはやりがいを感じますし、P/Lにヒットしていると思うと明確に事業貢献できたなという実感がもてます。
広報部門はどうしてもコストセンターになりますし、その自覚は必要だという前提の上で、事業貢献にどれだけ繋がっているのかを定量的に把握しておくことも大切にしています。把握しておくことで新しい施策に挑戦する時に大きな手助けになります。今年の秋にまあまあ予算をかけて製品発表会を実施したのですが、その前提にはコストをかける意味合いや事業貢献に繋がるということを定量的な数字でも説明できたことが大きかったです。
あるツールを導入したい、サービスを使いたい、追加で人を採用したいといったことはよく考えると思いますが、予算管理をしておくとこのタイミングで実施すべきかどうかの判断も容易になりますし、この費用は事業部が使った方がいいのではないか等、全社視点で最適な判断もできるようになります。また広報以外の部署に行った時にも必ず役に立つと思いますし、今後独立などを考えている方も必須のスキルになると思います。
最後に - これからの話
色々と書いたのですが、D2Cスタートアップの広報はやれることが無限にあり非常に面白いです。詳しくは書かなかったですが、銭湯・サウナの話は1つの新規事業的な形になって実際に売上を作るということまでやってみたり、製品発表会も1から10までやってみたりと多様な機会に恵まれ良い経験になっています。(製品発表会のことは色々とご質問いただいたので後日記事にするつもりです)
現状でも複数名のチームで動いていますが、まだ製品軸で盛り上げるのが精一杯になっています。来年は市場全体を巻き込む、リードするブランドや企業広報活動をしたり、採用関連のミッションが入ってきたり、IPOを見据えた広報活動を実施したりと、組織としてやることが増えるので、更なる組織強化を図るべく新たなメンバーの採用を行なっています。
この記事を読んで、D2Cスタートアップの広報って面白そうだなと思った方、ぜひお気軽にお話させてください!
▼本当に事業広報をお任せするつもりでいるので、弊社でチャレンジしたい方はぜひ!
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Twitter: @nsk_yoshimoto
長々となってしまいましたが、D2Cスタートアップに限らず、誰かの広報活動のお役に立てる内容になっていれば嬉しいです!ぜひSNSなどでご感想も教えてください!